「ユニコーン企業のひみつ」をよみました

4/26に発売された「ユニコーン企業のひみつ」を読みました。

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 ## 「ユニコーン企業ではスクラムをやっていない」

アメリカではアジャイル(主にスクラム)がソフトウェア開発の主流になっていて、Googleをはじめとするユニコーン企業はその一歩先に進んでいるとのこと。(日本においてはまだウォーターフォール開発が主流であり、アジャイル開発といっても納期やスコープがあらかじめ固定された、"なんちゃってアジャイル開発"が多い印象ですが。)アジャイルの一歩先ってなんなんだろう?(ワクワク)

## スクラムの一歩先は、大規模アジャイル

フレームワークだけをとらえると、ユニコーン企業で実施されているのはSAFeなどをはじめとする大規模アジャイルフレームワークそのものでした。もちろんSAFeなどのフレームワークと言葉の定義はちがう(例:トライブ=ART)けど、組織の構成は非常に似ている。結局アジャイルチームをスケールさせようとするとこういう形に落ちつくのか。(もちろん著者はこのフレームワークをコピーすれば旧来の大企業がテック企業になれるとは述べているわけではないので、注意。)

## 大規模アジャイルの難しさ 

アジャイルの教祖の一人であるRbert C. Martinはその著書「Clean Agile」の中で、大規模アジャイルについて、"アジャイルは小規模なソフトウェアチームの問題を解決したのであり、大きなチームを組織する際の問題はすでに5000年前に解決されているため、「大規模アジャイル」は存在しない"と記していますが、問題はそう簡単ではなさそう。本書の中でも、”スケーリングは手ごわい。スケールさせることは、プロダクトマーケットフィットを果たしたテック企業が直面する最大の課題のひとつだ。"と述べられています。

## 信頼され、権限が与えられた、自律的なチーム

これに尽きる。

え、そんなことなの?と思われるかもしれないですが、これを徹底的に実践できている日本企業を、私は知らない。チームは信頼され、権限が与えられることで初めて、自分のチームのミッションを定め、そのミッションを達成するために必要なタスクを考え抜くことができる。人に指示されたミッションじゃないから、アウトプットに愛着や責任感が芽生える。テック企業はどんなに開発がピンチに陥ろうとも、徹底的にチームを信じる。これを徹底できる企業が世界にどれだけあるだろうか。

## 明日からチームではじめよう!

経営層じゃないとこんなことできないじゃないか。。(そっ閉じ)

 いや、あなたが会社の経営層でなくてもできることはあるはず。仕事をしていると、チームメンバーに細かな指示を飛ばしたくなることもあるはず。私もある。そのほうが短期的には仕事が早く進む。でもそれを続けていると、指示されたこと以外何もしないチームが生まれてしまう。それを打開するためにマイクロマネージメント(以下、無限ループ)。そのループを断ち切るために、明日から自分のチームを信じてみよう。

## さいごに

スクラムを実践しようとすると、どうしてもフレームワークそのものに目が行きがちになりますが、それを下支えする文化が重要だとあらためて気づかされる1冊でした。また、SAFeをはじめとする大規模アジャイルに入門する前に、それらの概観をつかむ目的で読むのも良いのではないでしょうか?おすすめの1冊です。